10月8日の原油市場で、北海ブレント先物は約4%高の1バレル104.28ドル、WTI先物は3.6%高の91.49ドルで取引を終えた(CNBC)。イランがホルムズ海峡を通るタンカーへの攻撃を強め、ケプラーの集計では過去1週間に9隻が攻撃を受けた。海峡を出た原油は日量950万バレルで、戦争前より約3割少ない。米メキシコ湾ではハリケーン「イサイアス」で生産の約4分の1が止まった。トランプ米大統領は8日、SNSに「11月3日の中間選挙の前にイランを攻撃することはない」と投稿し、原油は高値から下げた。朝日新聞によると、イランの外相は米国との間接協議に「数日内に回答する」と述べた。マニラではAZECの11カ国の閣僚会合が、石油備蓄の強化と緊急時の協調放出の枠組みを検討することで合意した。米国はイランの「影の船団」に新たな制裁を科した。
日本は原油の9割超を中東から買っている。値段だけでなく、船が海峡を通れるかどうかが日本の供給を左右する。マニラの合意は、日本が自国の備蓄だけでなく、近隣国の備蓄づくりにも関わることを意味する。アジアのどこかで燃料が尽きれば、工場や物流を通じて日本にも跳ね返るからだ。
ガソリンや灯油、電気代は、原油の値上がりから数週間遅れて動く。円安が重なれば効き方は大きくなる。冬の暖房費を考える時期に入る。家計では、灯油の買い置きを急ぐより、値動きを数週間見てから決めても遅くはない。
トランプ氏が選挙前の攻撃を否定し、イランも回答を約束した。外交の窓が開いている間は、原油の上値は限られる。
タンカーへの攻撃は続き、海峡の流れは戦前の7割にとどまる。投稿一つで変わるのは値段の一部で、船の数は変わっていない。
きょうの数字は「9隻」。値段は投稿で下がったが、攻撃された船の数は下がっていない。見るべきは、イランの「回答」の中身と、海峡を出る原油の量が日量1000万バレル台に戻るかどうか。AZECの合意は「検討」の段階で、放出の量と条件が決まるまでは、日本の備蓄がアジアの最後の頼りになる。
CNBC(10/8、価格・ケプラー集計) · NHK(トランプ氏投稿、AZEC閣僚会合) · ロイター(トランプ氏発言、ルフトハンザ運休、影の船団制裁、アジアの備蓄) · 朝日新聞(イラン外相) · BusinessWorld · Arab News(マニラ会合)(10/7〜9)
原油、ブレント104ドル台へ4%高。ホルムズでタンカー攻撃続く、日本など11カ国は備蓄強化で合意
中東の緊張が原油をもう一段押し上げた。トランプ氏の「選挙前は攻撃しない」で上げ幅は縮んだが、海峡の船は戻り切っていない。マニラでは日本とアジアの国々が、備蓄で足並みをそろえた。
8日の原油市場で、国際指標の北海ブレント先物は前日比約4%高い1バレル104.28ドル、米国のWTI先物は3.6%高い91.49ドルで取引を終えた(米CNBC)。イランがホルムズ海峡を通るタンカーへの攻撃を強めている。CNBCがデータ会社ケプラーの集計として伝えたところでは、海峡周辺で過去1週間に9隻が攻撃を受けた。海峡を出た原油は6日までの1週間で日量950万バレルと、戦争前より約3割少ない。米メキシコ湾ではハリケーン「イサイアス」の接近で、生産の約4分の1が止まった。前日にはイエメンの親イラン武装組織フーシ派がサウジアラビアの2つの空港を攻撃して3人が死亡し、ルフトハンザなどがリヤド便を止めた(ロイター、NHK)。日本は輸入する原油の9割超を中東に頼る。8日の東京外国為替市場では、原油高が物価を押し上げるとの見方から円が売られた(NHK)。今年度上半期の企業倒産は5300件あまりと2年連続で5000件を超え、NHKは中東情勢と円安による仕入れ値の上昇を背景に挙げた。原油の値段は、すでに日本の中小企業の帳簿に届いている。
上げ幅を縮めたのはトランプ米大統領の投稿だった。8日、SNSに「11月3日の中間選挙の前にイランを攻撃することはない」と書き、「生産的な協議を行っている」とも主張した(NHK、ロイター)。前日には、国防総省が攻撃再開の準備を指示したと米メディアが報じていた。朝日新聞によると、イランの外相はホルムズ海峡をめぐる米国との間接協議に「数日内に回答する」と述べた。同じ8日、マニラでは日本が主導するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の11カ国の閣僚会合が開かれ、石油備蓄を強化し、緊急時には協調放出する枠組みを検討していくことで合意した(NHK)。採択されたのは備蓄強化の作業計画で、放出の条件や量はまだ決まっていない。各国が備蓄を積み増し、足りない国を近隣が支える仕組みづくりは、これから詰める。経済産業省の副大臣は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦がアジアの備蓄づくりへの協力に意欲を示したと説明した。米国は同じ日、イランの「影の船団」に新たな制裁を科した(ロイター)。