簗農水相が辞表を提出、首相が受理。就任から1か月足らず、高市内閣で不祥事による閣僚の辞任は初めて
簗和生農林水産相は10月14日、首相官邸で高市早苗首相と会い、辞表を提出した。首相は受理した(NHK、毎日新聞、時事通信、日本経済新聞)。簗氏は辞任の理由を「国会審議に迷惑をこれ以上かけるわけにいかない」と説明した(日本経済新聞)。昨年10月の高市政権の発足後、不祥事による閣僚の辞任は初めてで、第2次改造内閣の発足から1か月足らずだった(日本経済新聞、読売新聞)。問題になったのは、地元の道路予算をめぐる「予算カット」発言と、過去の衆院選で支持者を無料のシャトルバスで送迎した件だ。後者は公職選挙法に触れる疑いがある(日本経済新聞、読売新聞)。朝日新聞は、簗氏の選挙で報酬をもらって投票を頼む電話をしたという複数の元スタッフの証言を伝え、読売新聞も報酬の疑いを報じた。首相は同じ日の衆院予算委員会で、違法かどうかは関係当局が判断するとして答えず、違法なら人事上のこともちゅうちょしないと述べていた(NHK、毎日新聞)。辞表の受理後、首相は「任命責任を重く受け止めている」と述べ、後任は15日に明らかにする考えを示した(NHK)。毎日新聞は、後任は調整中と伝えている。
閣僚の任命は首相の権限で、不祥事が続けば政権の求心力が落ちる。朝日新聞は、「高市一強」の弊害が表れ、今後の国会運営に響くと分析した。農林水産行政には、コメ価格の乱高下や相次ぐ災害への対応が残り、担当大臣の不在は政策の停滞につながる(NHK)。辞任は法的な評価が出る前だったため、疑惑の真偽は、関係当局の判断と国会での説明で別に確かめる必要が残る。
農林水産省の政策は、コメの値段、農家への支援、災害時の対応に関わる。後任の大臣が何を優先するかは、スーパーで買うコメの価格や、農業の支援策にも波及しうる。15日の人事の発表と、新大臣の最初の会見に注目したい。
疑惑が広がる前に職を辞し、国会審議を前に進めた判断は妥当だ。首相も任命責任に言及し、速やかな後任の人選に動いている。
事実上の更迭で、首相の判断は後手に回った。毎日新聞は、判断の遅れで政権のダメージが広がり、党内からも後手との批判が出たと伝えた。辞任で終わらせず、人選の経緯と疑惑の説明を国会で明らかにすべきだ。
きょうの数字は「初」。高市政権で、不祥事による閣僚の辞任は初めてだ。見るべきは三つある。15日に決まる後任が、農政の課題にどう向き合うか。野党が任命責任の追及を、関文科相など他の閣僚に広げるか。公選法違反の疑いが、辞任のあとも関係当局の判断として残るか。辞めて終わりにせず、疑惑の事実関係が確かめられるかが問われる。
DailyDrop 日本版 第11号・2026年10月15日 朝刊