金融庁は10月9日、プルデンシャル生命保険に一部業務停止を命じた。期間は13日から来年1月末までで、新規契約の募集などが止まる。親会社のプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンには業務改善命令が出て、計画の提出期限は11月末だと時事通信が伝えた。生命保険会社への業務停止は2019年のかんぽ生命保険以来とされる。8日に公表された社外の調査委員会の報告書では、顧客からの金銭の詐取の被害申告が約62億円になった。会社は同日、関与した営業社員64人を解雇し、68人を業務停止にしたと発表した。社長らは報酬の30%を3カ月間返納する。調査委は、営業成績や人脈に頼る事業のやり方が暴走を招いたと指摘した。金融庁の公表文そのものは、まだ確認できていない。
社員が個人として顧客の金を取る不祥事は、会社の仕組みが許していたかどうかが問われる。親会社にも業務改善命令が出たと時事通信が伝えており、金融庁は一社の社員の問題ではなく、グループの管理体制を問題にしたことになる。保険は長く付き合う商品で、売る人への信頼が土台だ。
すでに契約している人は、保障が自動的に消えるわけではないが、扱いは契約先の公式な案内で確かめる。保険の営業担当者に、保険料の支払いとは別の名目で金銭や投資の話を持ちかけられたら、断って会社の窓口に確かめる。新規に保険を考えている人は、停止期間中はプルデンシャル生命で新しく契約できない。
免許取り消しに次ぐ重い処分だ。再発を防ぐには、これだけ重く出す必要があった。
新規営業の停止は、真面目に働く多くの社員や、保障を頼りにする契約者にも影響する。被害者への返金と、報酬の仕組みの改革が伴わなければ、処分は看板の掛け替えで終わる。
きょうの数字は「62億円」。当初の約31億円から倍に増えた。見るべきは三つある。13日の停止の開始、11月末の改善計画で営業報酬の仕組みにどこまで踏み込むか、被害を受けた人への返金の進み具合。申告はまだ続く可能性があり、総額が確定するまで、この数字は途中経過として受け止める。
朝日新聞 · 毎日新聞 · NHK · The Japan Times · 東洋経済オンライン · 時事通信(10/8〜9。期間と改善命令は時事通信と朝日新聞、被害額と人数は毎日新聞)
金融庁、プルデンシャル生命に3カ月超の一部業務停止命令。被害の申告は約62億円に
保険を売る社員が、顧客から金を取っていた。金融庁は、新規の営業を止めさせた。問われるのは、売る側の仕組みそのものだ。
金融庁は9日、プルデンシャル生命保険に一部業務停止を命じた。社員らが顧客から金銭をだまし取っていた問題への処分で、期間は13日から来年1月末までの3カ月超。新規契約の募集などが止まる(朝日新聞、毎日新聞、NHK、時事通信)。親会社のプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンには、統治の強化を求める業務改善命令も出た。時事通信によると、改善計画の提出期限は11月末。生命保険会社への業務停止命令は、2019年のかんぽ生命保険以来とされる。被害の規模は、この数カ月で大きく膨らんだ。会社が当初示した額は約31億円だったが、8日に公表された社外の調査委員会の報告書では、被害の申告額が約62億円に達した(毎日新聞)。会社は8日、詐取に関わった営業社員64人を解雇し、68人を業務停止にしたと発表し、社長らは報酬の30%を3カ月間返納し、社長は8日の記者会見で謝罪した(毎日新聞、NHK)。
毎日新聞は、金融庁が金銭への強い執着などを指摘したと報じた。調査委員会は、営業成績や人脈に過度に頼る事業のやり方が暴走を招いたと分析し(朝日新聞)、見直しを求める指摘は2004年からあったのに、何度も見過ごされたと報告した(毎日新聞)。毎日新聞が伝えた元社員の証言では、借金を抱えながら働く人もいて、高い報酬を得るのは一部だった。同社は2月から新規営業を自粛しており、処分で再開はさらに遅れる。停止の対象は新規契約の募集などで、すでに結んだ保険の扱いは各社の案内で確かめたい。ただし、62億円は申告ベースの数字で、実際の総額は確定していない。これからの焦点は三つある。13日(3連休明けの最初の営業日)の停止の開始、11月末の改善計画の中身、そして被害を受けた人への返金がどこまで進むか。売る側の報酬の仕組みが、顧客の金を取る動機になっていなかったか。処分で終わらず、そこが直るかどうかが問われる。なお、処分の内容は各社の報道に基づき、金融庁の公表文そのものは確認できていない。