ロシアの国営タス通信は10月13日(火)、北海道新聞の特派員を務める日本人男性が、極東サハリン州でスパイ容疑により拘束されたと伝えた(NHK、時事通信、47NEWS、日本経済新聞)。読売新聞は、男性がモスクワに移送され、逮捕された可能性があると報じた。産経新聞は、ロシア連邦保安庁がサハリン駐在の記者を逮捕し、モスクワに移したと伝えた。テレビ朝日は、スパイの罪で起訴されたと報じた。地方紙2紙の配信見出しは、裁判所が2か月の勾留を認めたと伝えている。ロシア当局は、男性が動員兵の情報を集めていたと説明し、外務省は、日本が記者を動員して情報を集めていると主張した(47NEWS)。ロイター、ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズも拘束を報じた。日本政府は、情報を確認中だと説明した(47NEWS)。
記者が取材中にスパイ容疑で拘束されれば、現地での取材そのものが難しくなる。ニューヨーク・タイムズによると、男性は極東で軍の人員の募集を取材していた。何が取材で、何が情報収集とされたのか。線引きがあいまいなままなら、ほかの外国メディアの記者にも影響が及びうる。拘束、逮捕、起訴は法的な段階が異なり、各社の書き方も揃っていない。
直接の影響はない。ただ、ロシアへの渡航や滞在を予定している人は、外務省の海外安全情報を確かめたい。ロシアの取材や現地の報道に関わる仕事の人は、所属先の安全の指針を見直すきっかけになる。
取材活動をスパイ行為とみなすのは、報道の自由への攻撃だ。日本政府は、事実の確認と早期の面会、解放に向けて、強く働きかけるべきだ。
ロシア側は、軍の動員に関わる情報の収集は、国家の安全に触れると主張している。ただ、容疑の根拠は示されておらず、第三者が検証できる状態にはない。
きょうの数字は「2か月」。裁判所が認めたとされる勾留の期間で、地方紙の配信見出しにあるだけだ。見るべきは三つある。日本政府が男性との面会を認められるか、ロシア側が容疑の根拠を示すか、北海道新聞社がどう説明するか。確認できていないことが多く、今の段階で断定できる材料は少ない。
NHK · 時事通信 · 47NEWS · 読売新聞 · 日本経済新聞 · 産経新聞 · テレビ朝日 · 沖縄タイムス · 佐賀新聞 · 下野新聞 · ロイター · ニューヨーク・タイムズ · フィナンシャル・タイムズ(10/13。拘束はNHKと時事通信と47NEWS、モスクワ移送は産経新聞と読売新聞、勾留と起訴は1〜2社のみ)
ロシアが北海道新聞の特派員をスパイ容疑で拘束。モスクワに移送、日本政府は「確認中」ロシアが北海道新聞の特派員をスパイ容疑で拘束。モスクワに移送、日本政府は「確認中」
国営のタス通信が13日に伝えた。ロシア側は、動員兵の情報を集めていたと説明している。日本政府は、事実関係を確かめている段階だ。
ロシアの国営タス通信は13日、北海道新聞の特派員を務める日本人男性が、ロシア極東のサハリン州で、スパイ容疑により拘束されたと伝えた(NHK、時事通信、47NEWS)。産経新聞は、ロシア連邦保安庁が男性を逮捕してモスクワに移送したと伝え、読売新聞も、移送されて逮捕された可能性があると報じた。テレビ朝日は、スパイの罪で起訴されたと報じたが、起訴の手続きの詳しい中身は、ほかの社で確認できていない。地方紙2紙の配信見出しは、ロシアの裁判所が2か月の勾留を認めたと伝えた。ロシア当局は、男性が動員兵の情報を集めていたと説明した(地方紙の配信見出し)。ニューヨーク・タイムズは、保安庁が、極東で軍の人員の募集を取材していた記者を拘束したと説明したと報じた。ロシア外務省は、日本が記者を動員して情報を集めていると主張した(47NEWS)。
日本政府は、拘束の情報を確認中だと説明した(47NEWS)。男性の氏名や年齢、拘束された日、スパイ容疑の具体的な根拠は、確認できた範囲では示されていない。北海道新聞社の説明も、私たちの確認した記事には見当たらない。フィナンシャル・タイムズは、今回の拘束を、政治的な動機があると批判されてきた一連の拘束に続くものと位置づけた。ロシアが示す容疑が、取材そのものを対象にしていないか。第三者が検証できる材料は、まだ出ていない。拘束と逮捕、起訴は法的に別の段階で、報道も言葉をそろえていない。