第222臨時国会が10月5日に召集され、高市早苗首相は衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。9月の内閣改造後、第2次高市改造内閣として初の国会論戦で、会期は12月12日までの69日間。政府は21本の法案を提出する予定だ。首相は「経世済民」を掲げ、最重要課題として、飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間、軽減税率の8%から1%に下げる法案の成立を挙げた。所得に応じた支援金とあわせて家計に「ゆとり」を生むと訴えた。財源は赤字国債に頼らずに確保するとし、「心配には及ばない」と述べたが、具体的な項目は示さなかった。物価・税収・金利・利払い費を見ながら国債発行を管理する「責任ある積極財政」を掲げ、年末までに国内投資を促す5年間の行動計画をまとめる考えも示した。代表質問は衆院が7・8日、参院が8・9日。
消費税は誰もが毎日払う税だ。食料品が1%になれば、食費の多い家計ほど負担は軽くなる。一方で税収は大きく減る。琉球新報の社説は年約5兆円、秋田魁新報の社説は国と地方で2年間に約10兆円と見積もる。日本の財政はG7で最も弱いとされ、長期金利も高い。新しい国債に頼らないと言いながら財源の中身を言わないことは、市場が最も嫌う組み合わせになり得る。与党は参院で少数のため、法案を通すには野党の協力も要る。
いまのレシートは何も変わらない。減税が始まるのは来年4月で、終わるのは2年後だ。家計で覚えておくのは二つ。外食は対象外で10%のまま、持ち帰りや食料品の買い物が対象になる見通しであること。そして2年後に税率が戻るなら、その前に駆け込み需要と値札の付け替えが来ることだ。
物価高が続く中で、食料品に絞った減税は所得の低い世帯ほど効く。支援金と組み合わせる設計も筋が通る。赤字国債に頼らないと明言した点は、財政への配慮として評価できる。
財源を示さない「心配には及ばない」は説明になっていない。2年後に戻すのかどうかも語られなかった。期限付き減税は延長圧力が強く、結局は国債頼みになるという見方が市場には根強い。
きょうの一文は「心配には及ばない」。安心させる言葉だが、数字が付いていない。見るべきは7日からの代表質問で、首相が財源の項目と金額を一つでも言うかどうか。言えなければ、この国会の論点は減税の是非から財源の信用へ移る。
NHK(召集・所信表明) · 共同通信(熊本日日、Bernama配信) · 時事通信(nippon.com) · 北海道新聞 社説 · 琉球新報 社説 · 秋田魁新報 社説 · QNA(すべて10/5) · 首相官邸の演説全文の直接確認は未完了
臨時国会召集。首相「食料品の消費税1%、赤字国債に頼らず」
第222臨時国会が開会し、会期は12月12日までの69日間。高市首相は所信表明演説で、来年4月から2年間、飲食料品の税率を8%から1%に下げる法案を最優先に掲げた。財源の中身は示さなかった
第222臨時国会が10月5日に召集され、高市早苗首相は同日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。9月の内閣改造で発足した第2次高市改造内閣にとって、初めての国会論戦になる。会期は12月12日までの69日間で、政府は21本の法案を出す予定だ。首相は演説で「経世済民」を掲げ、経済の力で暮らしを守ると述べた。時事通信は、首相が経済成長を最優先に据えたと伝えている。物価高が長引くなかで、まず家計の負担を目に見える形で軽くしたいという考えだ。最も重く位置づけたのは、飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間、いまの軽減税率8%から1%に下げる法案だ。あわせて所得に応じた支援金を出し、家計に「ゆとり」をつくると訴えた。財源は赤字国債に頼らずに確保するとして、「心配には及ばない」と語った。物価、税収、金利、利払い費の動きを見ながら国債の発行を管理し、今年を「責任ある積極財政」の元年にするとも述べた。年末までに国内投資を促す5年間の行動計画をまとめ、経済安全保障、サイバー防御、AI、半導体に重点を置く考えも示した。減税と投資を同時に進め、成長で税収を増やすという筋書きだ。外食は軽減税率の対象外のため、店で食べる食事の税率は10%のまま残る。
ただ、何で穴を埋めるのかは語られなかった。北海道新聞は社説で、首相が具体的な財源に触れず、2年後に税率を戻すことにも言及しなかったと批判した。税収減の見積もりは報道で幅があり、琉球新報は年約5兆円、秋田魁新報は国と地方で2年間に約10兆円とみる。共同通信は、日本の財政がすでにG7で最も弱いとされる中での約束だと指摘した。野党は、来年4月からでは目の前の物価高にすぐ効かないと批判している。国会の構図も楽ではない。与党は衆院で3分の2を持つが、参院では少数だ。前の国会から継続審議になっている衆院議員定数削減法案の行方も焦点になる。野党は、地元会合での道路予算をめぐる発言を5日に撤回した簗和生農相の資質を追及し、首相の任命責任を問う構えだ。各党の代表質問は衆院が7・8日、参院が8・9日。13日以降は衆参の予算委員会に首相が出る見通しで、財源の説明が最初の関門になる。